2016年11月8日火曜日

題について

日本伝統俳句協会では毎年「日本伝統俳句協会賞」への応募句を募集をしています。30句を一組として応募します。九年母会でも、今年から「九年母賞」を設け、20句を一組として投句を募集しました。会員の皆様のご協力により、53編の応募が有りましたが、初回としては上々の応募数だと思います。

先月中に6名の審査委員による審査も終わり、私の手元での取り纏めも終了し、順位も決定しました。来年1月号で発表し、1月15日の、生田神社会館における新年俳句大会の席で表彰する予定です。53篇、どの句も力作ばかりで、九年母作家の層の厚さを、改めて実感しました。今後、優秀作品を九年母誌で発表し、審査委員の皆さんには、審査に当たっての感想を述べて頂く予定です。

さて、日本伝統俳句協会賞でも九年母賞でも、一組の俳句の集合体に題を付けます。九年母誌には推薦作家の俳壇である「○月抄」という頁が有りますが、それぞれの作品に題がついています。今回の九年母賞の応募作品を拝見していますと、この題が出来ていない作品が散見されました。俳句のレベルは相当に高いのですが、その一組の俳句と題とがうまくマッチしていないのです。関連性が無い作品も有りました。実に惜しい事です。

題は、その一組の俳句の底に共通して流れている思いや詩情を、最大公約数のように纏めてシンプルな言葉で表現し、読者に内容を伝えるものです。その際には、自分がその一組の俳句の中で、最も重点を置いて読者に訴えたい俳句に含まれている言葉を題として使うのが一般的です。単に、一番最初の句から、あるいは最終の句から選ぶのではありません。この間違いが多かったように思います。

毎月、九年母誌の巻頭に私の句が12句、主宰の句として掲載され、招待席には一流のホトトギス同人の句と、当会を代表する作家の句とが載っています。そのいずれの作品にも必ず題が付されています。作品を鑑賞された後で、この題を味わってみて下さい。題の付け方の参考になると思います。