2017年10月2日月曜日

旅吟に思う

旅吟とは、旅に出た際に詠んだ俳句の事です。九年母誌の雑詠欄にも、毎月旅の句が沢山寄せられています。最近の特徴として、海外旅行に行って詠んだ句を投稿するケースが増えて来ています。
 10月号の随想で、「ご当地俳句」という一文を載せ、平明な句を詠むためには、一般的でない「ご当地」の固有名詞を使わない方が良い、と申し上げました。知らない人には理解が出来ないからです。海外旅行の旅吟でも同じことが言えると思います。

      摘みて挿すラップランドのコクリコよ

この句は九年母の大先輩で、嘗て編集・発行所を担当された、今は亡き方の作品ですが、私には、当初何の事か理解が出来無かった。世界を股にかけて経済活動に活躍され、58か国を旅された方ですが、申し訳ないのですが私には意味が分からなかったのです。インターネットで調べてみると、ラップランドとはノルウェー北部から北海までの沿岸地帯で、フィンランド、スウェーデン、ロシア北部を含む地方。コクリコとは花の名前で、ひなげしのフランス語だとあります。

 鑑賞せよと言われても、知識が無ければ不可能です。世界を股にかけておられた大先輩は、何のためらいもなく詠まれたのでしょうが、浅学菲才の後輩には、鑑賞するという以前、珍しい句だと感心してしまいます。これでは季題の働きどころではなくなります。ここに海外吟の難しさがあると思います。これからも世界旅行に行って俳句を詠まれるでしょうが、どう詠めば平明な句になるか、考えて頂きたいと思います。誰にでも分かる句にしたいものです。

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